1、平針の里山とはどんな所だったのか

 平針運転免許試験場の西側、社会福祉法人(平針福祉会)の南に名古屋の里山の原形を残す約10haの緑地帯がありました。ここでは、2007年まで個人の農地として稲が作られ、果樹園としても利用されていました。ところが2010年10月、COP10の最中に開発工事が始まり里山は破壊されてしまいました。
 この緑地は,名古屋に残された希少な価値を持つもので、その特徴は以下の5点です。
(1)湧水のあるため池が4ヶ所あり(2)それに付属する湿地には、トウカイコモウセンゴケ、ミズスギ等の植物が一面に繁茂していました。(3)ため池の南には3面にわたる棚田があり、(4)その東には柿畑と梅林がありました。また、(5)緑地の北側にはコナラを中心とした広葉樹林と竹林が広がっていました。

 

 このような多くの特徴を持つ里山を、緑地として保全することは、以下のような多くの価値が期待されました。  

1)都会で、身近な自然に触れることは、子どもの感性を豊かにし、市民の憩いの場となる。

2)この里山には色々な生き物が棲んでおり、生物多様性の保全および学びの場所となる。

3)森、ため池、水田など、まとまった緑の効果により、ヒートアイランドの緩和に役立つ。

4)タケノコ、ウメ、カキやイネの生産過程が都会のなかで観察・体験することが出来る。

5)森やため池、水田の保水・遊水機能により、豪雨時の洪水調整機能が期待される。

6)森の大気浄化作用による、大気汚染の軽減が期待される。

7)森の炭酸ガス吸収機能により、温暖化防止効果が期待される。

 

Google地図の航空写真で、開発工事完成後の様子です。場所を知りたい方は地図のアイコンをクリックして下さい。

 

開発前の航空写真です。撮影の季節か天候条件のせいで色が異なりますが、ほとんど同じアングルの写真です。